旭川 女子高生ひき逃げ


旭川 女子高生ひき逃げ

真実求める遺族の思い…ストーカー追起訴/複数の信号無視か


 旭川市永山町で昨年9月、旭川凌雲高2年だった寺島あみさん(当時16歳)がひき逃げされ、死亡した事件で、自動車運転過失致死罪と道交法違反(ひき逃げ)などに問われた東神楽町、土木作業員岩倉智弘被告(36)の論告求刑公判が13日、旭川地裁で開かれる。これまでの公判では、岩倉被告が事件前後、知人女性にストーカー行為をし、事故で複数の赤信号を無視した疑いが浮上。被害者参加制度を利用する遺族は13日の意見陳述で「真実がわからないまま終わるのは、あみがかわいそう」との思いを語る。


■法廷で陳述へ

 陳述するのは、あみさんの父、会社員光良さん(54)。母、直美さん(45)とともに「被告の供述に納得できず、捜査への不信感もある」と話す。事件当日、あみさんは焼き肉店のアルバイトで午前中に自宅を出た。「気をつけて行けよ」と声を掛けると「わかったよ」と光良さんに返事をしたのが、最後のやり取りだった。

 一報は午後11時頃、直美さんが取った。「ひき逃げされて病院にいるらしい」。夫妻は病院に向かう途中、多数のパトカーと警察官を見た。「まさかあみの事故では」と思いながら病院に到着。「頭を打っており、危険な状態」と医師から説明され、緊急手術が行われたが意識が戻らない。

 直美さんは泊まり込み、友人たちは6000羽の折り鶴を持って見舞いに来た。あみさんは10月15日午後、家族の呼びかけに2度蘇生したが、眠るように息を引き取った。「負けん気の強い子だったから頑張ってくれた」と直美さん。



 あみさんの夢は看護師。事故前、病院で職業体験して「大変だけど、やりがいがある。頑張って専門学校に行きたい」と話していた。事件がなければ翌日、修学旅行用バッグを一緒に買いに行く予定で、直美さんは「一番楽しい時期。勉強、仕事、結婚がこれから経験できたのに一瞬で奪われた」と唇をかむ。葬儀では、折り鶴がひつぎに納められ、高校正門で霊きゅう車を全校生徒が見送った。


■再捜査を要請

 あみさん亡き後、光良さんは、岩倉被告が赤信号を無視した理由を「信号そばのガソリンスタンドの明かりに気を取られた」と説明したと知り、疑問がわいた。現場に予備信号や電光掲示板があり、手前の交差点の信号が数秒差で連動することを知っていたからだ。


 光良さんは代理人弁護士を通じ、旭川地検に再捜査を要請。「二つの交差点信号を無視したのではないか」と考えたからだ。

 さらに、インターネット上で「被告は事故後にストーカー行為していた」という書き込みを見つけて、代理人弁護士に調査を依頼。被告はストーカー規制法違反で追起訴された。被告の弁護人は「遺族の思いを受け止め、本人も反省している」と説明、被告は昨年12月、手紙を渡そうとしたが、遺族は受け取っていない。

 直美さんは「反省が感じ取れず、事務手続きのように裁判が進むのに耐えられない」と今も傍聴ができない。光良さんは「当初の実況見分は予備信号に触れず、捜査が尽くされたのか疑問。被告は飲酒後に出頭しており、酒気帯び運転の疑いもある」と話している。



 ◆地検 危険運転致死は適用せず

 起訴状などによると、ひき逃げ事件は9月25日午後10時40分頃、道道旭川環状線の交差点で発生。自転車で横断歩道を渡っていた寺島あみさんは、赤信号を無視した岩倉智弘被告の乗用車にはねられた。被告は約180メートル先で一度停車したがそのまま逃走。知人女性宅のインターホンを鳴らすなどストーカー行為をして上司宅などで飲酒し、翌26日朝、旭川東署に出頭して、逮捕された。

 自動車運転過失傷害罪と道交法違反(ひき逃げ)で起訴された2日後にあみさんが死亡し、12月の初公判で旭川地検は同過失致死罪に訴因を変更。被告は過失で事故を起こしたことを認めた。

 遺族の代理人弁護士は独自に調査し、予備信号を見落とした当初の捜査を批判。「被告は電光掲示板と予備信号などを無視し、現場赤信号を殊更に無視した」として、最高刑・懲役20年の危険運転致死罪への訴因変更を求めた。しかし、地検は先月、「被告が手前交差点を直進した証拠がない」と回答し、退けた。

 代理人は、被告が昨年8月にストーカー規制法違反容疑で逮捕され、不起訴・釈放となった事実も公表。被害女性の告訴で、ひき逃げ事件前後に行ったとされるストーカー規制法違反が追起訴となったが、地検はストーカーとひき逃げの関連性を認めていない。

(2012年4月8日 読売新聞)


本日の報道では実刑4年の判決とのこと。

ご遺族のお心は察するに余りあります。
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by miyabinahiro | 2012-05-16 17:13 | 事件 | Comments(0)